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安曇野市「新庁舎」住民投票の会のブログ~住民投票AZ

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2011年 08月 27日

2011年7月30日 住民投票学習会の報告(3)

わたしたちに残された「最後の手段」住民投票を学習(3)
~今井一氏と質疑応答、意見交換~


※わたしたちに残された「最後の手段」住民投票を学習(2)の続きです。

《質疑応答・意見交換》
【男性】 新庁舎建てることは問題ではないという意見もある。国のお金(合併特例債)をひっぱればよい。地元負担は微々たるもので金銭的にはいいこと。お金のことだけでなく、効率、情報公開、産廃問題など問題を多面的に取り上げてほしい。
【小林じゅん子議員】(今井講師からうながされて)「合併したんだから市役所は必要でしょ」で6年たった。市長は、80億円かかるから特例債が使えるうちにやらないと、というばかり。市役所はほんとうに必要なのか、どういう市役所ならいいのか、将来の見通しはという議論はない。住民投票を考えたのは、このまま計画が進むと来年12月着工となってしまうので、市民としては、いまアクションを起こさないと手遅れになる。市民が自ら新庁舎に賛成、反対、あるいは分からないと意思表示をした結果であれば、その結果はどうあれ受け止めてやっていける。建設でもやめるにしても、議会任せにはできない。重要なことを自分たちで決めたい。
【今井】 特例債は、借金でありのちのちの返済の負担はある。その部分は広報されているのか。
【Y市議】 ほとんどされてない。
【今井】 佐久市は住民にこたえ、文書化した。市民ホール完成後の維持費は議会に提示し、それを公表してから賛否を問うた。住民投票の「いのち」は、情報公開なんです。福島3、4号機どうなっているのか。情報出てこない。「合併特例債、悪いようにはせんから」と議会が押し切るというなら、やはり住民投票です。
【男性】 いろんな住民投票をみて、住民意識や自治体はどう変わったか。行政の民主化、情報公開につながるか。
【今井】 鋭い質問です。民主主義、市民自治についてつかみなおすことが必要です。首長、議員に「お任せ」でやってきて、いろいろな問題がここ20~30年たまった。佐久市や四街道市は自分たちの事柄を自分で決めようと、一人ひとりの1票で決めた。主権者は私たちだと改めて再認識したのです。巻町の脱原発でも、はじめ町行政は原発容認だったのですが、住民は主権者は自分と考え、ものすごい時間と労力を注ぎ込みました。町長リコールまで行ったのです。子どもたちに「民主主義とはそいうものなんだ」と教えることができました。ものすごい時間と労力をかけたことが、ほんとの財産になる。投票日だけの主権者じゃない。365日主権者なんですよ。お金も労力もかかるが、やらないと地方自治は生き残れない。
【女性】 佐久はいい条件(市長が住民投票を提案)もあり、うまくいった。安曇野市の場合、市長は(新庁舎建設を)やりたくてしかたない。どんなに(署名の)人数を集めても否決される。時間がない中でいい結果を生むにはどうしたらよいか。
【今井】 早いのはリコールです。いま茅野市に福島の子供300人が合宿している。実はこれは疎開なんです。8日間内部被曝から離すためなのです。9月以降は学校単位で疎開させたいということで、福島独自の条例制定へ署名集めの話しが持ち上がっています。よりラディカルにリコールをという声もあり、どちらかの道を9月以降探ることになります。議員さん、なにか報告ありませんか。
【Y市議】 昨年12月6日から1月20日まで、新庁舎建設について、議員7人が市民アンケートをしました。結果は87:13の割合。87%は建設反対か慎重意見。3・11の大震災以降、反対は増えて9:1ぐらいになっているでしょう。
【今井】 議会で(住民投票条例)可決できないのですか。
【Y市議】 最近庁舎建設予定地の所在地変更を議決したのですが、反対は少数で21:7で可決されてしまいました。これで行けば否決でしょうかね。
【M市議】 私は21:7の21の側です。話を聞き、勉強になりましたが、市民ホールと市庁舎は同列には扱えないと思う。
【女性】 9:1でも聞く耳持たぬでは・・・。
【今井】 全国的にそうなんですよ。しかし運動は加速度的に広がる。神戸空港は75%が「いらぬ」といい、新聞報道もされたんですが、ゴリ押ししてつくっちゃった。
【女性】 首長は選挙戦では「庁舎問題は白紙です」と言って当選。当選後「色は決まった」。同じトーンの議員もいる。議員のリコールはいい手だが、「椅子取りゲーム」になりかねない。立候補者が多ければよいが、元議員の順番を決めるだけの選挙にもなりかねない。根本のところで市民側の候補を出せるかどうか。
【今井】 おっしゃる通り。出直し選挙の候補者は、リコール署名したグループから出すわけです。四街道市長選はそれでうまくゆきました。まさかの当選でした。市議選だったら5、6人は立てないと。リコールする側はそこまで段取りをつけないと足元を見られます。
【諌山憲俊・事務局長】 福島や宮城では庁舎が津波でなくなった市町村が相当あります。それら自治体はプレハブやテントで頑張っています。「庁舎をつくれば一体感が生まれる」などという安曇野市とは相当な距離を感じます。

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# by az_jumintouhyou | 2011-08-27 21:04 | 住民投票学習会
2011年 08月 27日

2011年7月30日 住民投票学習会の報告(2)

わたしたちに残された「最後の手段」住民投票を学習(2)

~道理を議員、首長につきつけ、道理と数の力に訴える~
※わたしたちに残された「最後の手段」住民投票を学習(1)の続きです。

 では、住民投票とは何か。選挙とどう違うか。町内会なども含めて選挙は人を選ぶ。代理人を決めるのです。住民投票はすべての事柄を自分で決める。新庁舎について言えば、住民投票は自分たちで決める。選挙は自分に代わって決める人を選ぶ。
原発をどうするか。国民が投票で決めればよい。菅さんではなく。

 また、選挙は公選法で行われるが、住民投票は自治体ごとのルールをきめればよい。義務教育修了の高校生から選挙権を認めてもよいし、永住外国人を認めてもよい。期日前、投票時間、すべて自由。ポスター、チラシ、だれが何をしてもよい。
住民投票の運動の広がりはすごいが、3年3か月の間43件連続否決され、市民にとっては無理な制度に疲れ、しらけていることも否めません。

 日本の国政は間接民主制です。国民投票は1回も行われていません。原発でやれれば初めてになります。制度はあるのです。憲法改正は、仮に全議員が賛成していても一番大事なところでは国民投票に待たなければならない。

 一方で、菅さんとか森さんとか日本国首相を、国民投票でクビにすることはできない。同じ間接民主制でも地方自治体はまったく違う。首長や議会をリコールできる。地方自治は直接と間接の両輪で動くようになっている。しかしなぜか住民投票制度に欠陥があり、署名を集めても議会はウンと言ってくれない。

 しかし最近変わってきた。四街道市で、佐久市で、ピカピカ市民ホールが建設中止になった。佐久市の市民ホールの事例は参考になる。市長は「つくった後の維持費が大変」と考え、もう一度、理性的判断する機会を住民投票に求めた。公共事業は走りだしたら止まらないものですが、これはストップしました。佐久市に私は5回招かれ、住民投票講習会の講師を務めました。
 
 道理を議員、首長につきつけ、道理と数の力に訴える。
 佐久の議員たちも最初なめていたようなところがありました。「ホールができれば、新幹線で東京のオペラ、芝居に行かなくて済む」という意見に対して、「地域には地域の役割がある。東京に佐久のような自然があるのか」、「合併特例債を何10億も返していかなければならない。もったいない」。
 会場の30代カップルが立派な反論をしました。「そのお金はどこから来たの?国民の税金ではありませんか。財政が大変な時、国庫に返せばよい」。自分たちだけでなく国民全体を考える。市民をなめてはだめです。

 市民ホールをやめて衆愚政治になったか。間接民主主義の破壊になったか。ねじれが解消しただけで議員はだれもやめていない。佐久市で初めての住民投票はとくに重要な問題だからやったんです。

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# by az_jumintouhyou | 2011-08-27 21:00 | 住民投票学習会
2011年 08月 27日

2011年7月30日 住民投票学習会の報告(1)

わたしたちに残された「最後の手段」住民投票を学習(1)

~今井一氏、全国の取材体験ふまえ熱弁~
 住民が本腰を入れて考えなければならない重大な事柄、将来の世代に負担を残す事業は、政治家や議員、役人任せにせず、住民自身が立ち上がり、直接投票で主権者の意思を明らかにすべき時が来る。全国ではこれまで、原発や産廃施設、あるいは合併問題などで、さまざまな住民投票が行われてきた。憲法、地方自治法で許されている直接請求権であるが、実現に至るハードルは高く、重い。

 安曇野市が約80億円をかけるという新庁舎建設問題は、この「最後の手段」を検討せざるを得ない段階に来た。市民有志で結成された「新庁舎」住民投票の会(準備会)は7月30日、豊科交流学習センターで学習会を開いた。講師としてボランティア参加した〔国民投票/住民投票〕情報室事務局長の今井一さんは、ジャーナリストとして全国各地で実施された住民投票すべてを見てきた体験を踏まえ、「地域の重要な問題は自分たちで決めよう」と立ち上がった各地市民の動きを伝え、熱弁をふるった。

 学習会は 急な呼びかけだったが、40人を超す市民が参加。活発な質疑が飛び交った。今井さんの基調報告と主な質疑を再録する。(まとめ・横地泰英)

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 おとといまで、福島にいました。すごい距離を移動してきました。本職はジャーナリスト。これまで12冊の本を書きました。来週、集英社、それに岩波からも原発・国民投票関連の本を出します。国民投票情報室というNPOをやっています。いままで日本では401件の住民投票が行われていますが、メディアがこの数字を使うときは、私たちの調べであるクレジットを入れなければならない。総務省に聞けば「今井に聞いてくれ」といわれる。それだけ権威のある会なんです。代表は元安孫子市長でしたが、消費者庁長官になってしまい、いまは成蹊大学の武田先生です。原発問題は大混乱。即刻か、20年ぐらいかけて転換するか。政府が決めるのではなく、イタリアやスウェーデンのように国民投票で決めればよい。今、こうした運動を湯川れいこさん、辻井 喬さん、山本太郎さんらとやっています。アイススケートが強い関西大の法学部で、国民投票、住民投票の講義もしています。

 きょうは、新市庁舎問題で安曇野に来ました。できればぜひ住民投票をやってもらいたい。いままで401件の住民投票があったのですが、ちょうど15年前の1996年8月4日、新潟県西蒲原郡巻町で東北電力の原発の是非をめぐり住民投票が行われました。翌月には沖縄で日米地位協定と基地をめぐり県民投票がありました。岐阜県御嵩町では産廃施設問題で住民投票。このように96~97年はいわゆる迷惑施設めぐり、地元住民が拒否権を発動した。住民投票は反対住民の最後の抵抗手段のように言われますが、本来は反対の最終手段としてあるのではない。98~99年は公共事業が住民投票のテーマになりました。神戸空港、吉野川可動堰など大型公共事業は住民の声を聞くべきだとする機運が高まった。住民投票の結果は、ドイツやスイス、アメリカなど欧米では法的拘束力を持たせている国が多いが、日本ではそれが法制化していない。資料1(多数の署名で否決・提出者と可決率)をみてください。多数の署名を集めた住民投票条例制定の請求は議会であっという間に否決されてしまう。熊本県人吉市は有権者の48.5%、愛媛県大洲市は53.3%。2人に1人が署名しているのにたった5分で否決ですよ。

 住民投票条例には三つのやりかたがあります。①首長が提案②議員が提案③有権者の2%以上の署名をあつめて直接請求、の三つです。いずれの場合もやるかどうかを決めるのは議会。しかしこの3年3か月、全国で43件が連続否決です。小国町では65%の署名を集めて否決。これはもう、住民が悪いのではない。制度がまちがっている。片山総務大臣は住民投票法制を創設する予定でした。就任後1年半たってもうちょいのところまできていたのに、震災が起きて・・・。

 資料2(リコールと条例制定の比較 )を見てください。リコールの流れと条例制定を求める直接請求の流れを対比させています。リコールはルールが変わって先日名古屋市で成立しました。リコールは有権者の3分の1の署名がいる。条例は2%だから楽でしょう?ところが50%の署名でも議会が拒否してしまえばだめ。3分の1連署のリコールを突き付けられたら、拒否できない。やめるか、住民投票になる。圧倒的多数は議会解散でした。条例制定改変には鳴らなかった。わたしたちは条例制定をリコールと同じルールにしようと運動をつづけています。

 もう一つの道があります。広島市、我孫子市、岸和田市が独自の「実施必須型住民投票」制度を設けています。問題が起きてから署名を集め直接請求するのではなく、住民投票条例は常設し一定数以上の署名があれば必ず住民投票を実施する。岸和田は5分の1以上であれば住民投票二なります。市庁舎問題もこうした制度を作る手もある。

 住民投票の頻度は2002年ごろから急伸しました。合併特例法で住民投票は年間150件にもなりましたが、合併特需の終了で2005~2006年には激減。合併関連以外はわずか3件だけです。

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# by az_jumintouhyou | 2011-08-27 20:55 | 住民投票学習会